てんねんまるや

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Anaplanってどうなんやろなー。kintoneで似たようなのつくればそれでいいんじゃないの?

Anaplanってどうなんやろなー。kintoneで似たようなのつくればそれでいいんじゃないの?

 予算策定の「脱・Excel」、Anaplanで実現するリアルタイムの計画業務と着地予想


SaaSで計画ソリューションのプラットフォームを提供するAnaplan

あらゆる計画業務をサポートするために生まれたAnaplan


 Anaplanは2006年に英国のヨークでMichael Gouldが創業した企業です。
彼は2003年にCognos(現IBM)に買収されたAdaytum Softwareで、ビジネスプランニングツールの開発責任者を務めていた人物です。
Cognosとの製品統合プロジェクトに従事した後、ゼロから最新テクノロジーを活用したビジネスプランニングのための全く新しいプラットフォームを開発するべく独立し、Anaplanを起業。
2008年にプロトタイプが完成、2010年に第一号顧客を獲得し、現在は世界13カ国、1400社超の幅広い業種のお客様が利用中です。


 現在は米国サンフランシスコに本社を置き、2018年10月にはニューヨーク証券取引所への上場
日本では、三菱電機パナソニックオムロンコニカミノルタなどの製造業を中心に導入


 Anaplanの社名は「Analytics + Planning」に由来していて、その名の通り、私たちのビジネスの主軸はプランニングとアナリティクス
一つ目のプランニングのスコープは特定のドメインに限定されるものではありません。
経理・財務の他、営業、サプライチェーン、人事、ITに至るまであらゆる計画業務に対応できるのがAnaplanの特徴です。
もう一つのアナリティクスでは汎用的な分析ではなく、計画に関する分析の機能を提供しています。
例えば、計画を作った後の実績との比較、プランAとBのどちらが良いかを比較するシミュレーションがAnaplan上で可能になります。

 

多くの日本企業の経理部門にとって、中期経営計画や年度予算の策定と実績管理の業務を進めるのは継続的な業務ではありません。
典型的な日本企業の財務計画策定プロセスの問題はどこにあるのでしょうか。


 計画業務は年間スケジュールが決まっていますが、一度の策定で終わるわけではありません。
3月に年度末を迎える企業の場合、予算編成を行うのは通常1〜3月で、4月以降は、毎月計画通りに進んでいるかを分析し、計画に乖離がある場合は見直しを行います。
この予実管理は次の予算編成までずっと続きますから、作りっぱなしではないことを強調しておきたいと思います。


 本来、組織における計画業務の目的は、将来のある特定の時期における見通しを立てることにあります。
私たちが夏休みにどこに行って何にお金を使うかの計画を立てるように、年度末の売上見通し、月末の費用の見通し、今週の在庫保有水準、新年度の採用人数など、将来の予測を行うことがビジネスではとても重要です。


 ところが、この将来予測をしたいと思った時、社内のシステムのどこを探してもその数字はありません。
どこにあるのかというと、人の頭の中です。
例えば、販売計画の場合、どこの会社をターゲットに何をいくら売るかは、人の頭脳(過去の経験からこれだけ売れそうという読み)、もしくは気持ち(とにかくこれだけ売るんだというガッツ)を統合して作ります。
システムにあるのは過去の実績データですから、この人の気持ちを集めて調整する「意思入れ調整」はRPAを使っても自動化することはできません。
また、担当者が時間と手間をかけてやる割には、不正確なものしかできないというジレンマを抱えています。

 

 私たちがグローバルで調べた結果によれば、約8割の企業がExcelに代表される表計算ソフトとメールで計画策定を行うとわかっています。
具体的には、担当者が表計算ソフトでフォーマットを作り、関係者に「入力してください」とメールで送る。
入力してもらったシートが返ってきたら、集計し、レポートにまとめる。
その際、戻ってきた数字の妥当性のチェックや部門間の調整も必要です。
本来であれば、一元管理しているデータを「今はこうなっているが、期末の着地はこうなりそう」を予想し、関係者全員でディスカッションをして次のアクションを決めることに使ってほしいところですが、
これでは「作業」で終わってしまっています。


表計算ソフトとメールを使う計画策定では、情報のサイロ化とセキュリティが問題です。
計画には個人の思いや意思が反映されますが、それが個人のPCの中に分散していると、時間差が原因で、ある部門が言っていることと別の部門が言っていることの整合性が取れないことが起きてしまいます。

 

 

 また、「クラウドの導入はセキュリティが心配」という会社は多いですが、クラウドファーストの時代にあって、表計算ソフトとメールでのやりとりを維持する方が情報漏洩リスクは高いのではないでしょうか。
計画担当者は企業の中ではエース級の人材が揃っています。
その人たちがもっと知的で付加価値の高い仕事ができるように業務プロセスを変えてもらうことがAnaplanの狙い

 

 Anaplanは計画担当者のためのSaaSツールとして提供されていますが、私自身はPaaSに近い
従来のEPMが財務計画だけに焦点を当てているのに対し、Anaplanでは計画業務を水平に捉えていて、対象が財務か否かは問わず、Anaplanという単一プラットフォーム上に機能横断的に計画アプリケーションを構築できます。


 今年からガートナーがExtended Planning & Analysisという概念を提唱するようになっていて、2024年までに70%の計画のスコープが財務単独からその他の機能ドメインにまで拡張するという予測をしています。
予実管理では財務だけでなく他の機能との横連携を考慮しなければならないと気づき始めたわけで、コネクテッド プランニングを以前から提唱しているAnaplanは将来の市場ニーズと合致したプラットフォームを提供していると考えています。


 例えば、3カ年の中期経営計画があり、1年目が終わった段階だとしましょう。
計画には財務計画はもちろん、販売計画やその他のオペレーショナルな計画を伴っています。
2年目の計画における売上を下方修正したら、3年目の着地見込みがいくらになるかをAnaplanではすぐにシミュレーションすることができます。
もう一つ、単年度計画で、営業がある製品の売上目標を変えると、調達部門は関連する部品の調達計画にどんな影響があるかをリアルタイムに確認できます。


 表計算ソフトでやっていると、ある数字を変えても別の表計算ソフトのシートで管理されている他の数字は変わりませんが、Anaplanでは関係者全員が信頼できる共通の数字を基にディスカッションを行うことができるので、意思決定をより迅速に行うことができるのです。
計画策定時の調整は残りますが、調整結果を全部門が共有できるように変わります。

 端的に言えば、作業中心の業務が分析中心にシフトします。
あるお客様がAnaplanを導入する前に話していた印象的な言葉に「部下が表計算ソフトのシートを配って、集計して仕事した気になっている」というものがあります。
本来は集めてきたデータを使い、経営層にアドバイスをするのが財務プロフェッショナルとしてのあるべき姿です。
そうなるように変えるのがAnaplan

 

 

「強気」[弱気」の比較ができれば可能な着地見込みの予想


 2つの例を紹介しましょう。
一つはオーソドックスなシナリオシミュレーションの例です。
図3では、製品の販売計画を例にベースの計画と、売上成長率が強気の場合と弱気の場合の2つの計画を作り、それぞれを比較できるようにしています。
これは売上だけのシナリオですが、費用のシナリオもベースと強気、弱気で作り、組み合わせて売上は強気、費用は保守的にして、期末のP/Lの着地見

込みを確認することができます。
P/Lだけでなく、B/SやC/Fに展開することもできますから、手持ちの現金が予定水準を下回ったらアラートを出すようにして、資金繰りの最適化に役立てることができます。

 

 

もう一つの例は、中長期の戦略テーマに合わせてシナリオを作るものです(図4)。
例えば、「サプライチェーンを強化する」というテーマに合わせ、「一般管理費を予定より10%削減する」場合の財務諸表へのインパクトを勘定科目レベルで確認することも可能です

 

 

 シミュレーションができれば、最近のコロナウイルスの感染拡大で計画の前提が崩れた場合でも、見直しを行うことで「この製品の売上回復は秋口になりそうだ」などの着地見込みが見えてきます。
また、製品の需要計画を起点に売上がどう変わるかを見ることもできますし、サプライヤーへの部品発注をどうするかを検討し、次の手を迅速に打つこともできます。


 多くの企業で着地見込みの予想ができないというのは、複数の計画を作り、比較できないから困っているのではないでしょうか。
いろいろなケースがあると思いますが、Anaplanはそこで困っている人たちのサポートに使えるツールだと考えています。

最後にこれから経営管理の高度化を真剣に考えている企業に向けてのアドバイスをお願いします。


 組織全体で同じプラットフォームを使うことを考えると、予算策定のタイミングに合わせるのがベストです。
とは言え、作った予算に対する実績の評価は常に行なっていることですから、今困っているのであれば、検討を早く始めれば始めるほど、早く成果が得られるとも思います。


 最近では、ERPをS/4 HANAに移行するプロジェクトが終わるまで、計画のことはとても考えられないというお客様も多いのですが、2025年まで表計算ソフトとメールで我慢するのは辛い。
でもAnaplanであれば、アジャイルに導入を始めて、数カ月後に一部の部門が使い始めることも不可能ではありません。
コロナをきっかけに、できるところから経営管理の高度化に向けて計画業務の見直しを始めてみることをお勧めします。